演出(桐山知也)より

 つねづね「なんで、世の演出家たちは、そのまま演(や)らないのか?」と思っていた『わが町』。5年くらい前にはじめて演ったときには「そのまま」演ったつもりだったが、今思い出してみると、ずいぶん捏ね繰り回していたものだ。『わが町』をそのまま演るということが実際どういうことなのか、ここで言ってしまったらネタバレになるので言わないが「シンプルに、まっすぐに」と言っていいのかもしれない。


 この共同制作は、5つの大学が集まって「大学で演劇を学ぶこと(教えること)はどういうことか?」「大学で演劇を学んだ演劇人とはどんなものか?」とかそんなことを考え実践する実験、と言い換えることができるかもしれない。その実験に参加する若者たちは、各校それぞれのクセのようなモノがあり「シンプル」とは言えないかもしれないが「まっすぐ」です(出会ってからの短時間の印象では、たぶん)。


 さて、これが実験だとすると、ご覧いただく観客の皆さんは芝居を観るというよりも公開実験に立ち会うといったほうがいいのかもしれません。そのとき、少しばかりの想像力をもってこの実験に立ち会って下さい。想像力をもってその場に立ち会うことは、今回『わが町』を「シンプルに、まっすぐに」演るためにとても重要なことですので。と、なんだか結局ネタバレになった感じもするので、これぐらいにしておきます。続きは、お立ち会い頂いて、ということで。

【プロフィール】

桐山知也 きりやま ともや

岐阜県生まれ。日本大学芸術学部演劇学科卒。
主な作品に『紙風船』『命を弄ぶ男ふたり』『ベニスの商人』『ジュリアス・シーザー』『かもめ』(水戸芸術館ACM劇場)『ぼくらが非情の大河をくだる時 — 新宿薔薇戦争』(シアタートラム「日本語を読む」)『明日は天気』『闇の光明』(東京演劇集団風)『桜の園』(日本大学芸術学部)『美しきものの伝説』(シアタープロジェクト静岡)など。演出助手等として『国盗人』『マクベス』『サド侯爵夫人』(野村萬斎演出)『道元の冒険』『から騒ぎ』(蜷川幸雄演出)『春琴』(サイモン・マクバーニー演出)などの作品に参加。

2010年文化庁新進芸術家海外研修制度研修員として一年間ベルリンにて研修。日本大学芸術学部演劇学科助教。