あらすじ


「私は、よく娼婦の顔をしていると言われる」
中学生の市田静子はホステスとして働く母、小学生の妹知恵と3人で貧しい生活を送っていた。実父志津男には愛人がいて、たまに帰ってきては金を要求し、暴力をふるい、ついには家を出てしまう。
3人の暮らしは、母の客だという男たかしが養父として同居しはじめて一変する。その歪んだ支配欲と理想の押し付け、「お父様」と呼ばせ、あれやこれやと禁止事項が増やす。理由をみつけては静子の身体に触るようになっても、母はとりあおうとしない。静子の心の支えは同級生のボーイフレンドだけだったが、妊娠を機に、たかしの行動はさらにエスカレートする。 

ごあいさつ



「東京大学連盟」に加盟している5つの大学は、演劇系大学共同制作という名前で、東京芸術劇場の後援を頂き、6年に渡り公演をしてきました。

今年の作品は内田春菊による小説を脚本化したミュージカル「ファザーファッカー」が選ばれました。

本作の原作となった小説「ファザーファッカー」は今から25年前にBunkamuraドゥ・マゴ文学賞を受賞しています。

内田春菊の小説は実際に体験した出来事に基づいて書かれた、私小説です。

養父による性的虐待をテーマに描かれた作品ですが、日本の女性でこのような私小説を発表した人は内田春菊が初めてです。

1993年に発表されたものですが、現代でも十分に通じる話題だと感じます。


今年の1月に東京で小学4年生の女の子が父親により虐待死した事件。学校の先生にも報告していましたが十分な対応をして貰えず命を落としました。

2016年8月に受験に向けての勉強を教える中で暴力に発展し、小学6年の息子を父親がナイフで殺害した事件では、今年2019年7月に父親に対して懲役13年がの判決が言い渡されました。

その他にも親が子供を虐待したり、殺してしまう事件は沢山あります

 今日も先にあげたような事件の多くが犠牲者の中にのみ、秘められている気がします。

現代社会において、メディアでは伝えきれない、あるいは隠されている社会問題や環境問題は沢山あります。

『演劇』は、そのような社会的問題に取り組み、発信する事も仕事の一つだと私は思います。


かつて作られ、現代に残っている社会のシステム。
教育の環境なども、今、大きく変わり始めています。

目に目に見えているようで、実はきちんと見えていない問題の中で生きている若い人たち。


この作品も「タブー」なテーマの1つだと思います。
人々が嫌になりがちな、目を伏せがちな、このような厳しい問題。

そこから目を背けず、直視し、真摯に立ち向かい、また取り組む学生たちの姿を、私はこの稽古期間で見ます。


この公演が若い人たちにこそ、より響き、
彼ら、彼女らの将来を明るくしていけるパワーになれたらと思います。
 
 

ペーター・ゲスナー(演出)

 


ペーター・ゲスナー (Peter Goessner)
演出家・俳優

1962年、旧東ドイツ・ライプティヒ(Leipzig)生まれ。ハレ(Halle)のターリア(Thalia)公立劇場勤務。1992年来日し、北九州市を拠点に劇団うずめ劇場を立ち上げ、主宰者・演出家として多くの作品を上演。

<主な活動、受賞歴>
2000年、第一回利賀演出家コンクールにて最優秀演出家賞受賞
2001年、北九州市民文化奨励賞受賞
2007年~2010年度、東京都調布市立せんがわ劇場芸術監督
2010年、読売演劇大賞にノミネート(ハイナー・ミュラー作“ピロクテーテス”)
同年、シューマン作オペラ“ゲノフェーファ”日本初演(東京新国立劇場)
その他、演劇専門雑誌等にて、ベストプレイ、ベスト演出、ベスト舞台デサイン、ベスト俳優など数多選出。
現職は、東京の桐朋学園芸術短期大学演劇専攻科教授。
北九州市より特命文化大使に任命され、今年8月、13年ぶりの北九州公演を行う。

内田春菊(原作・脚本)


漫画家、小説家、エッセイスト、女優。
​1959年、長崎県長崎市生まれ。
​1984年、四コママンガで漫画家デビュー。以来、幅広いファン層に支持される。1993年、初めての小説「ファザーファッカー」を出版、直木賞候補となる。
1994年、「私たちは繁殖している」「ファザーファッカー」の2作品で第4回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞。
 

 
 
 
メッセージ

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